この3月、小田急ロマンスカーは、同社が進める箱根重点政策とそれに基づく特急サービスの見直しによって展望席をもつ新車両として復活。斬新なデザインをまとうその名も[ロマンスカー50000形VSE※]としてデビューを果たした。
※Vault:(英)アーチ型天井 Super Express
「ときめきを感じられる車両を、さらに、新宿から箱根湯本までわずか85分という時間を心身ともにリラックスして過ごせる高い居住性を、というのが小田急側から示された基本的な要望でした」と、統括デザインを手がけられた建築家岡部憲明氏は語る。「ゆとりあるドーム型の天井を実現し、長さ4mにおよぶ大きな開口と、薄く軽やかなデザインのシートによって開放感あふれる空間の創出に成功した」という空間はリビングにいるかのような居心地の良さである。そしてこの新車両3号車と8号車の、カフェのカウンターやトイレ、洗面、喫煙ブースなど随所にデュポン™ コーリアン® が採用されている。
「全体として、表面のテクスチャーを感じることができる素材だけを吟味したいという思いがありました。緻密で優しいテクスチャーをもつ素材であること、また3・8号車には木質をふんだんに採り入れていますが、この“木”との親和性が高いこともデュポン™ コーリアン® の採用理由といえます」と岡部氏は話す。
また、トイレや洗面にはおのずと面積の制約がある。この制約を感じさせず、誰でもがほっとする空間をいかに演出するかも課題となったという。「どのような素材を使っても、その接続部を目にしたとき、人は自然にその空間のスケールを計ってしまうものです。それではゆとりを感じさせることができません。目地ができず連続的な加工が可能な素材、という点でもデュポン™ コーリアン® がまさに好適だったわけです」。
50000形の外装色はシルキーホワイト。「緑に映え、晴天下ではシャープな白に曇れば肌色にも見える微妙な色彩です。この色との整合性から柔らかで穏やかな色味をもつカメオホワイトを選びました」と岡部氏。さらに、運転席のワンポイントとして運転士前部のカウンターにデザインポートフォリオシリーズのライラックが採用された。